Takamiya Action 社長が語る戦略の”今”
Takamiya Action 社長が語る戦略の”今”

ビジネスの新たな仕組みを確立し
建設業界に先鋭的イノベーションを起こす

「トランスフォームにより新たな価値を創造し、業界の質的発展を牽引する企業グループを目指す」というビジョンを掲げた「2018 中期経営計画」も最終年度を迎えましたが、ここまでの成果には大きな手応えを感じています。これまで以上に新たな価値を生み出し、タカミヤにしかできないトランスフォームを追求していきます。

時代の変化を見据えウィズコロナ時代を生き抜く

新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、世界は劇的に変わり、企業を取り巻く環境も大きく変化しつつあります。ウイルスとの共存が必要となるウィズコロナ時代の新しい生活様式が求められる中、ビジネス環境や企業経営にも大きな変化が求められています。
2021年3月期は、「トランスフォーム」をテーマに掲げて2018年4月にスタートした「2018 中期経営計画」の最終年度にあたります。このテーマは、時代の変化を見越してビジネスモデルを更新し、業界の質的発展に貢献するという、当社の決意を込めたメッセージです。
建設業界のメガトレンドは、新築を中心とした建設から、リニューアルや維持補修へと向かっています。オフィスビルなどはすでに建て替えが進んでおり、今後は橋梁や高速道路などのインフラの整備とともに、抜本的な改修も進むと思われます。関西圏においては、日本国際博覧会(大阪・関西万博)やIR(統合型リゾート)の開発に向けて、インフラの整備と既存の建物の建て替えが同時に進行することも見込まれます。また、懸念される南海トラフ地震や、頻発する異常気象に備える防災整備工事も急務となっています。そのため、政府および民間の建設投資も、ここ数年は60兆円を超える規模で推移するなど、増加傾向が続いています。

業界関連プロジェクト

業界関連プロジェクト

このようにインフラ再整備の需要は高いものの、楽観視はできません。その理由の一つとして、建設業界のボトルネックとされる人手不足があります。直近においては、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用情勢の変化から、人手不足感が薄れています。しかしながら、この先、建設需要が減少して、人余りが起きることは予想できません。優れた人材の確保と、生産性の向上がより一層求められるでしょう。

次世代足場「Iqシステム」次世代足場「Iqシステム」

ただ、そうした課題に対して当社は先行した取り組みを実施してきました。それは既存商品よりも高い安全性と施工性を備えた、次世代足場「Iqシステム」です。「Iqシステム」の導入により、建設作業員が安心して施工できる現場環境を実現することはもとより、商品の管理・輸送コストを削減するなどの効率化を図り、生産性向上にも寄与できます。建設業界において「次世代足場」という言葉は確実に浸透し認知度も高まっており、新たな変化をもたらし始めています。「Iqシステム」の市場は、当初想定した2020年の規模から大きく外れておらず、ほぼ計画どおりに推移しており、トップシェアも獲得できています。また、今後5年以内には、足場の大半が「次世代足場」に変わると見込んでおり、ここまでは業界のトレンドや経済の状況を踏まえた、先手を打った仕掛けに手応えを感じています。ただ、当社が見据えているのはもっと大きな変化です。建設現場への足場の供給に、施工の省力化や安全性の向上という付加価値を加えたように、未来を見据えた次なるトランスフォームが不可欠であると認識しています。

磨き上げてきた「機能」の組み合わせが、新たなビジネスモデルを生む

今、当社が見据えているのは、業容自体を変化させるトランスフォームです。それは、お客様に圧倒的に利便性の高い「仕組み」を提供するビジネスです。当社のこれまでの提供価値が「建設現場の安全の提供」だったとすれば、そこから「建設工事にまつわるあらゆるサービスのワンストップでの提供」に変容していきます。
もう少し詳しく説明していきましょう。当社はこれまで、「仮設機材のレンタル」から始まり、少しずつリソースを広げ、現在では「開発・製造」「販売」「レンタル」「設計・施工」「管理・物流」という5つの機能に分けられます。①お客様の現場の変革を実現する製品を開発し、安定供給するための開発・製造機能、②製品を最適に流通させる販売機能、および③レンタル機能、④現場に必要な機材量を算出し、組立まで請け負うなど徹底的に工数を縮減しながらお客様の利用促進を図る設計・施工機能、⑤全国各地の機材センターが担う、管理・物流機能です。そして、これまでこうした機能を磨いてきたことによって、組み合わせによる「仕組みビジネス」の提供の準備がいよいよ整いました。
すでに、先駆けて、「Iqシステム」ではこの仕組みの提供をスタートさせています。シェアリング事業「Iqシェアリング」です。これはお客様が「Iqシステム」を購入後、当社の機材センターを活用して機材を管理し、ほかのお客様と機材をシェアしていただくサービスです(詳細はアニュアルレポート2020 P.20~21ご参照)。従来、自社で開発・製造し、施工請負しながらプロモーション活動を図り、レンタルや販売を伸ばしデファクトスタンダートを獲得してきた「Iqシステム」に、当社の管理・物流を組み合わせて「お客様の機材の効率的な活用」までをデザインしています。当社の仕組みを活用していただくことが、お客様のコストを低減させ事業を継続していくのに不可欠な状態をつくっていくのです。

シェアリングビジネスの構造

シェアリングビジネスの構造

この仕組みビジネスは、固有の商材や領域に左右されず、汎用化が可能であることが利点。例えば、「Iqシステム」以外の機材にも転用可能です。アグリ事業は、この仕組みのうち、開発・製造、販売、設計・施工までを活用したものであり、まだまだ進化させることができると考えています。当社が今後考えるべきことは、お客様の利便性を高めるシーズは何か、そのために当社の仕組みをどのように活用できるか、ということに変わっていきます。もちろん、個々の機能を効率化していく方針に変わりありません。機材輸送の利便性を高める都市部近隣の機材センターの開設や、製造現場のコスト低減や生産性向上などにも継続して取り組んでいきます。ただし、今後、1機能をがむしゃらに効率化していくのではなく、「当社が提供する仕組みビジネスの価値を最大化し、最適な形にしていくための投資や取り組みは何か?」という観点で検討を進めていきます。その意味も込めて、 2021年3月期のテーマを「最大最適化」としました。
このトランスフォームによって、お客様には当社が提供する仕組みを活用いただき、効率よく事業を展開いただけます。そして、当社は先行投資とハード(償却済み賃貸資産)の運用によって収益を生むビジネスから転換していきます。ハードの償却が進んだ際に直面する価格競争を回避し、人材育成など次のイノベーションにつながる投資に集中していきます。これらの取り組みの先に、当社が現中期経営計画で描いた「業界の質的発展」の真の実現がなされると確信しています。

トランスフォーム実現に向けた準備は着々と計画どおりに進行

足元を見ると、2020年3月期の決算は、「Iqシステム」が販売、レンタルの両事業で業績を牽引し、過去最高業績を更新しました。「2018 中期経営計画」を計画どおりに展開できた結果だと捉えています。当期の重点施策である賃貸資産投資については、海外での投資を一部見直しましたが、他施策については

ホリーベトナム(有)ホリー・ベトナム(有)

現中期経営計画では、基本方針である「経営基盤の強化」「収益基盤の革新」「海外展開の加速」「新たな成長事業の創出」に経営資源を戦略的に投入し、タカミヤグループの進化に注力しています。中でも、当期に注力した課題の一つが生産性の向上です。これは、製造分野での製造力強化が大きなカギとも言えます。具体的には、現在稼働中の4工場の製造力を高めるとともに、より最適化を図るべく、ベトナム工場を拡張しました(3期工事完了)。同時に、東南アジア市場向け商品の生産拠点として、ベトナム工場のマザー化を進めることで、効率化への取り組みが進んだと考えています。
前述のとおり、今年度は現中期経営計画の最終年度であり、新中期経営計画に向けた準備も進めています。次期計画は、新たな「しくみ創り」によってイノベーションを起こすことを目指します。これに向けた取り組みの一つとして、若いリーダーたちが参加する「プロジェクトリーダー会議」が進行中です。同会議では、例えば、新たに開設する機材センターの積み込み作業の自動化に向けたシミュレーションを行っています。機械化(IT化、AI化)を進めることでどのくらい効率が上がるのか、機械化を進めるうえでどこに問題があるのかなどを徹底的に検証することで、未来に向けて投資するべき案件を検討できます。実現には、IT人材をより強化する必要性もあります。人材の育成・強化もトランスフォーム実現に向けた経営課題の一つと捉え、取り組んでいます。
販売事業では、「Iqシステム」の標準化普及に向けた、小規模事業会社に販売する戦略が功を奏し、2桁の増収増益となりました。競合各社も次世代足場へシフトし、業界内での次世代足場普及が加速したことにより、将来的には新規顧客の獲得が減少する可能性も出てきました。一方、既存顧客については、リピート、つまり更新需要やプラスαの需要が期待できます。販売先を従来の大手企業から小規模企業に広げたことで、結果的に圧倒的な販売者数を得ることができました。これは将来の底堅いリピート需要につながるはすです。

耐候性パイプハウス「G-Castleシリーズ」耐候性パイプハウス「G-Castleシリーズ」

また、新商品の開発と製造力のさらなる強化にも力を入れています。今後は、建設現場で必要とされる商品のお客様との共同開発をはじめ、汎用性の高い商品の開発や、顧客ニーズへの迅速な対応を図るべく、情報収集力の強化やグローバルな調達体制の確立を図り、メーカーとしての力にさらに磨きをかけていきます。
2014年10月にスタートした農業用ハウスの販売・施工事業(アグリ事業)については、得意の金属加工技術を活かすほか、工事部門との社内連携により、低コスト、高耐候性、スピーディな施工対応という当社商品ならではのメリットを前面に打ち出し、販路の拡大に努めます。

レンタル事業は、当社事業の中で最も安定した収益が見込める事業と言えます。2桁の増収増益、しかも2期連続で設備投資を抑えながらの収益拡大を実現しました。背景には、「Iqシステム」の新規およびリピートの堅調なレンタル需要に加え、徹底的な運用管理により、高水準の機材稼働を確保できたことがあります。具体的には、整備力の強化により、機材の返却から次回出荷までの期間を短縮したことに加え、足場の設計段階から商品の構成比率を管理しながら運用できたことが収益拡大につながったと捉えています。
今後は、IoTやAIも含めた取り組みにより、生産性や品質を一層向上させ、高まる需要に対応するとともに、新たな仕組みを導入して収益力のさらなる拡大に努めていきます。
海外事業では、総じて先行投資段階にあるものの、 2020年3月期はようやく期を通じて収益を確保できるようになりました。ASEAN地域では、フィリピンの公共インフラ・都市開発などの建設投資や、ベトナムでの外資誘致の推進など、仮設機材の製造、販売、レンタル需要が高まりつつあります。そうした環境下、現地での企業と人脈のネットワーク構築のための営業活動に注力したことで、プロジェクトの初期段階で情報を得られるようにもなりました。
2021年3月期は世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、海外事業は厳しい状況が続きそうですが、営業拠点があるフィリピンを中心に営業強化を図っていく考えです。

業績推移

業績推移

経営理念に照らし合わせたESGの取り組み

当社は社是を「愛」とし、「己を愛する」「人を愛する」「会社を愛する」ことを経営理念としています。会社は社会の公器であり、企業を通じて地域社会や国家に貢献することを「会社を愛する」で定めています。また、人を動かしているのは、自身の成長への意欲と家族への思いやりであるということを「己を愛する」「人を愛する」で掲げています。当社のESGに対する考えは、この経営理念が根底にあります。当社にとっては、事業自体が社会貢献です。例えば創業当時にレンタル事業を生業にしてからは、世の中の「保有の合理化」を図ることを謳ってきました。また、当社は一貫して、施工性と安全性に優れた商品を提供しており、少子高齢化によって引き起こされる人手不足という社会課題に対してもダイレクトにリーチしていると言えるでしょう。また、環境への配慮についても、当社の事業と不可分であり、社会インフラの維持補修のための商品提供、風水害対策や地震による建物倒壊への対策などといった観点から貢献していきます。
人材に対しては、経営理念を踏まえ、社員が主体性を持って仕事に取り組む環境づくりを最も重視しています。また、主体的に新しいアイデアを生み出し、提案・展開できる人材や高い専門性を持つ人材の育成も不可欠であり、人材育成のための様々な施策を行っています。前出の若手リーダーを中心とした「プロジェクトリーダー会議」もその一つ。若手リーダーたちは、経営に近いところの情報を得ることで主体性を持って動くようになり、それが成長につながっています。そのほかにも、個々人に対してのインセンティブ制度の導入、建設業界ではめずらしい私服でのオフィス勤務の実施など、様々な取り組みを進めています。
働き方改革については、生産性を高めることも当社の事業特性から考えると必須です。これまで先行して取り組みを行ってきましたが、現在の働き方改革の潮流は、当社の取り組みの追い風となるものと考えており、今後も、常識にとらわれない独自の取り組みを進めています。引き続き、人材を中心に据えた経営を強化していきます。

タカミヤには海外を含め、多種多様な人材が存在しています。

そして、さらなる経営基盤の強化において、コーポレート・ガバナンスの向上が不可欠です。その重要性が高まる中、当社では社外取締役を含む取締役会による戦略指導や経営の監視、社外監査役を含む監査役会制度を採用しています。監査についても内部監査室との連携強化を図っており、本年6月に新たに選任された監査役は、当社において情報システム室長を務めていたことから、その見識を活かし、ガバナンス強化に努めていただくことを期待しています。早期の情報開示にも力を入れており、情報の精度を高めるとともに、当社の側からより積極的に情報を発信していきたいと考えています。
経営陣の若返りなどを視野に入れつつ、トップに権限が集中しないよう、各事業本部長への権限委譲を進めています。事業本部長が情報を共有しながら経営管理を行うことで、各自が責任を持って企業統治を担えるようにもなりました。部門間の管理が強化され、経営方針の徹底も進んでいます。経営に関する知識を持った人材が増えたことで、次期中期経営計画に向けた展開も図りやすくなったと言えます。経営人材の育成が進んだことにより、将来、経営者として企業を統治できる人材が増えることも期待できます。

新たに、今までになかったものを生み出す。それがタカミヤの真髄

代表取締役会長 兼 社長 髙宮 一雅

これまで当社の主力事業は、足場のレンタルなのか足場の開発なのか、足場の工事なのか、それとも販売事業なのかと質問されることが多々ありました。先に述べた今後のトランスフォームの方向性のとおり、すべての事業がシナジーを生み、一つひとつの事業として成長、発展を遂げ、今までにない新しい商品やサービスを生み出すことが真に目指す姿です。
常に未来を見据えて事業を展開しているため、当社の事業は1年単位ではわかりにくく、評価しにくいかもしれません。ステークホルダーの皆様には、できれば3年、あるいは5年というスパンで事業を観察していただくことで、成長の軌跡をご理解いただけると考えます。
また当社では、長期的な成長を視野にビジネスモデルを転換していますが、今日に至るまでの基本的方針は終始一貫しており、進む方向は揺らいでいません。進む方向は変えずに、今までになかった新しい商品やサービスを創造することで、建設業界全体の質的な発展を促し、世の中の役に立つための積極的な事業展開を目指しています。なお、現中期経営計画は今年度で終了するため、当期は次期中期経営計画の準備も進めていきます。
タカミヤは今後も、社会の役に立つ付加価値の高い商品を開発・提供するとともに、新たな「仕組み」を提供することで、収益力やブランド力などの企業価値向上に向けて挑戦を続けていきます。ステークホルダーの皆様には、引き続き長期的な視点でご支援、ご期待いただきますようお願い申し上げます。

2020年9月
代表取締役会長 兼 社長

髙宮 一雅

アニュアルレポート2020 (PDF:7.2MB)

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