Takamiya Action 社長が語る戦略の”今”
Takamiya Action 社長が語る戦略の”今”

建設業界における変化の先を見すえて、
新たな安定収益基盤を確立し、
長期にわたる持続的成長を実現してまいります。

当社では、建設業界における大きな変化をいち早くとらえ、常に時代の先をリードする価値の創出を追求しています。そして今年度、新中期経営計画「2021中期経営計画」を策定し、かねてより取り組んできたトランスフォーム実現に向けた、仕上げの3年をスタートさせました。事業構造の改革と業績の向上に邁進し、ステークホルダーの皆様のご期待にしっかり応えていきます。

維持修繕工事の推移

維持修繕工事の推移

次世代足場「Iqシステム」の普及を原動力に事業モデルの転換へ

2020年度、建設業界はコロナ禍の影響により工事の中止や延期、資材の納期遅延、作業員の不足といった事態に見舞われました。一方で、i-ConstructionをはじめとするICTの導入と、テレワークをはじめとした働き方改革が一気に進んだ一年でもあります。しかし、こうした変化は建設業界における変化のうねりの一端でしかありません。今日、建設業界は50年、100年という長期の時間軸の中で一大変革の時代を迎えています。日本経済が高度成長期の真っただ中であった1969年に、当社は創業しました。1960~70年代は、全国で道路や橋梁、トンネルなどの社会インフラの建設が進んだとともに、高層建築物の建設ラッシュの時代でした。これによって、建設業界は戦後日本の再建に多大な貢献を成し遂げました。この間、当社は「足場」と呼ばれた仮設資材の販売やレンタルを通じて、業界の需要に的確に応えることで、社会への貢献と成長を続けてきました。そして、半世紀以上が経った現在、建設業界は新たな使命に直面しています。それは老朽化した社会インフラの維持管理です。インフラの寿命を延ばすための維持や修繕といった老朽化対策は急務の課題です。特に、東日本大震災の発生を受けて、2013年には国土強靭化基本法が策定されたことから、インフラ再整備の機運が一気に高まりました。また、不具合が起きる前に計画的なメンテナンスをする「予防保全」に向けた取り組みも活発になっています。このほか、近年の気候変動を背景に、防災や減災に向けた対策も重視されており、こうした一連の社会課題に向けて、政府および民間の建設投資は60兆円を超える規模で推移しています。社会インフラの再整備に対する需要が旺盛である反面、少子高齢社会の進展を背景に建設業界では人手不足が深刻な状況です。限られた人員の中で、施工の安全を守りつつ、生産性を向上させていくことが業界の大きな課題です。

建設業界を取り巻く環境が大きく変わりつつある現在、当社は時代の先を見すえ、業界の課題に真っ向から取り組んでいます。昨年度が最終年度であった「2018中期経営計画」においては、従来型足場をレンタルする事業モデルを通じて安定した収益を確保する一方で、2020年までに収益構造を変革するという目標を掲げてきました。これによって、変動しやすい建設需要に左右されることなく、しかも競合企業に対する競争優位を築き、長期にわたって持続的成長を可能にする事業構造への「トランスフォーム」を目指してきました。収益構造の変革をもたらす基盤となるのが、既存商品よりも高い安全性と施工性、コスト削減をかなえる次世代足場「Iqシステム」です。当社では、2018年まで「Iqシステム」への投資に注力し、従来型足場から「Iqシステム」への入れ替えを進めてきました。そして、当社のねらい通り、次世代足場は市場に浸透中であり、この分野で約30%のトップシェアを獲得するまでに拡大しました。今後5年以内には、足場の大半が次世代足場に取って代わるものと推測しています。

次世代足場「Iqシステム」次世代足場「Iqシステム」

こうした事業モデルの一大転換により、2020年3月期において過去最高業績を更新することができました。2021年3月期はコロナ禍の影響により業績は前年比で減少したものの、事業構造の改革は着実に進んでおります。そして今年度、「2021中期経営計画」を策定し、利益体質へ転換、新たな収益事業の創出に注力しています。これによって、新たな安定収益基盤を確立し、外部環境の変動に左右されることの少ない経営を目指すとともに、長期にわたる持続的成長を追求していく考えです。

建設業界での新たな貢献と当社の持続的成長をめざして

ここ数年にわたる、従来型足場から次世代足場「Iqシステム」への転換は、当社におけるトランスフォームの序章に過ぎません。従来にない付加価値の高い足場というハードウエアの普及が進む一方、それを変革の基盤として、ソフトウエアを加えたまったく新たなビジネスモデルを構築することで、次なるステップとして業容自体の変革をめざしています。これにより、競合他社によるハードウエアの模倣を防ぎ、当社でしかできないビジネスモデルを確立いたします。このトランスフォームこそが、当社の目指す戦略の本丸です。新たに策定した「2021中期経営計画」では、「トランスフォームにより新たな価値を創造し、お客様のパートナー企業となることで、持続的な成長を目指す。」という経営ビジョンを掲げ、変容する建設業界での新たな貢献をめざしつつ、当社の持続的成長に向けたロードマップを描きました。
「2021中期経営計画」では、4つの基本戦略の一つ目に「『Iqシステム』を中心としたハードとソフトを融合したサービスの開発」を掲げています。これは、「Iqシステム」というハードウエアに、開発・製造、販売、レンタル、設計・施工、「Iqシェアリング」の展開において最も重要な点は、お客様が仮設資材をシェアして、全国どこからでも入出庫できる体制の構築です。そのためには、仮設資材を常にベストな状態に維持する品質管理体制と、お客様からお預かりする仮設資材数の正確な把握、そして入出庫需要に備えて資材センター間で資材をやりとりするためのシステムの構築が欠かせません。
当社では資材センターにWebカメラなどを配置して、お客様の仮設資材の見える化を進めるとともに、現場に貸し出し中の仮設資材の数量や、資材センターにおける在庫数を、システムを通じてリアルタイムで把握できる体制を管理・物流という5本の矢を通じて、ソフトウエアとしての価値をブラッシュアップし、しくみビジネスを展開していく戦略です。これは、長年にわたり仮設資材の販売、レンタルで培ったノウハウを結集し、お客様の立場で価値あるサービスを提供することを主眼としています。

Takamiya Lab. WestTakamiya Lab. West

従来、当社ではシェアリング事業である「Iqシェアリング」を通じて、サービスの提供に努めてきました。同事業は、お客様が「Iqシステム」を購入した後、当社が全国に展開する資材センターに預けていただき、他のお客様と足場をはじめとする資材をシェアしていただくものです。お客様自身の資材保有量は最小限にとどめ、不足する資材については借りていただくことで、資材の稼働率を高め、お客様の収益力の向上を図ります。当社では、「Iqシェアリング」をさらに浸透させるため、ハードウエアとソフトウエアを融合したサービス開発の中核拠点「Takamiya Lab. West (タカミヤ ラボ ウエスト)」を兵庫県尼崎市に整備しています。今後、同拠点を通じて、仮設ビジネスの新たな可能性を追求する中で、外部環境に左右されにくく、継続的に収益を確保できるストック型ビジネスモデルの構築をめざしていく考えです。

新たな安定収益の基盤を構築するための当社独自のしくみサービス

「Iqシェアリング」の展開において最も重要な点は、お客様が仮設資材をシェアして、全国どこからでも入出庫できる体制の構築です。そのためには、仮設資材を常にベストな状態に維持する品質管理体制と、お客様からお預かりする仮設資材数の正確な把握、そして入出庫需要に備えて資材センター間で資材をやりとりするためのシステムの構築が欠かせません。
当社では資材センターにWebカメラなどを配置して、お客様の仮設資材の見える化を進めるとともに、現場に貸し出し中の仮設資材の数量や、資材センターにおける在庫数を、システムを通じてリアルタイムで把握できる体制を築いていく計画です。現場の建物の構造に合わせて必要な仮設資材の数量、費用を算出できるシステムを提供することで、施工の進捗に合わせた資材の手配を短時間かつ容易に行えます。資材の自動算出は、3D技術を取り入れたことによるものですが、同じく3Dレーザースキャナを用いて、建物や設備の測量から図面まで一貫して提供するサービスも導入しています。これらはお客様の業務効率化、収益力向上と安定経営に大きく寄与するものと考えます。さらには、当社の開発・製造機能を活用することで、お客様のニーズに即して、新たな商品を共同で開発することも視野に入れています。そして今後、システムの強化とともに、スマートフォン向けアプリの開発を進めていきます。これによって、お客様は保有する仮設資材の情報の取得が容易になります。加えて、資材の売買を自由にできるしくみも構築します。当社が構築をめざすしくみサービスは、「Iqシステム」やそれに関する資材だけでなく、様々な建築資材について市場取引を可能にする可能性を秘めています。

しくみサービスの拡充に向けて、現在当社が注力しているのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資です。中核拠点の「Takamiya Lab. West」内に整備するバーチャルラボでは、最新技術であるAR(拡張現実)やVR(仮想現実)を駆使して、どこからでも現場を仮想で体験いただけるシステムをつくります。そして、体験した設備を、常設展示場で実際に触れてもらうことで、機材への理解を深めていただく考えです。また、「Takamiya Lab. West」の特筆すべき特長の一つは立地です。従来、資材センターはコストを抑えるために都心部から離れた場所に立地するのが常でした。これに対して同拠点は、京阪神の都心部から近い尼崎市に置くことで、大規模プロジェクトの多い都心部の現場との搬送時間を大幅に短縮できます。加えて、倉庫の自動化を図ることで、資材の積み込み時間についても大幅に縮減し、最速で出荷できるようになります。今後、「Takamiya Lab.West」と同様の施設を他地域でも展開していくとともに、全国約30カ所の資材センターについても、順次アクセスのよい立地に切り替えることも検討していきます。

老朽化したインフラの維持・改修に貢献する事業の強化

「2021中期経営計画」における基本戦略の二つ目に掲げているのが、「維持補修・再インフラ向け製品の強化」です。冒頭で申し上げたように、老朽化したインフラを維持・改修する工事が今後ますます増える中で、当社では現場の安全確保や作業性に役立つ製品の開発に努めています。たとえば、パネル式吊り棚足場「スパイダーパネル」は、吊り桁、根太(ころばし)、足場板が一体となったパネル状の足場で、高速道路や橋梁の工事、塗装および点検足場として多く使われています。従来の吊り足場よりもすき間のない足場空間をつくることができ、安全性や作業性を向上させています。また、「リフトクライマー」は、高層マンションなどの大規模修繕工事で使われる移動昇降式足場です。昇降式エレベーターのような作業ヤードに乗りながら、外壁工事を仕上げていくことができます。建物全体に足場を組む必要がないため、維持補修時に建物の景観を損ねることがありません。このほか、法面などの急斜面など特殊な現場においても、簡便に安全に組み立てることのできる「YTロックシステム」という足場を揃えています。

維持補修・再インフラ向け戦略商品

維持補修・再インフラ向け戦略商品

一方、当社は増加傾向にある自然災害を踏まえて、防災・減災対策商品の強化にも力を入れています。「オクトブレース(座屈拘束ブレース)」は、床面積が大きい物流倉庫や、高層から低層建物でも活用できる制振機能も備えた筋交いで、施工性に優れ、低コスト化にも貢献することから大型物流倉庫などで採用が進んでいます。また、土嚢(どのう)や砂袋に代わる浸水防止システム「タイガーダム」は、止水性が高いだけでなく、設置スピードが速く、産業廃棄物を発生しない水嚢(すいのう)です。地球温暖化がもたらすゲリラ豪雨の頻発により防災対策に欠かせない商品として、東京消防庁や警視庁などで採用されています。
当社では、維持補修・再インフラ製品、防災・減災対策商品のラインアップの拡充を図ることで、「Iqシステム」に続く成長分野に育てていく考えです。また、これらの商品群についても「Iqシェアリング」のシステムを活用することで、シェアリングビジネスの中に組み込み、お客様にとって効率的に管理できるメリットを打ち出していきます。

事業ポートフォリオのさらなる充実

代表取締役会長 兼 社長 髙宮 一雅

「2021中期経営計画」の基本戦略の三つ目が、「仮設部門以外の事業育成」です。当社では、コアである仮設資材の事業に加えて、新たな事業を創出することで、事業ポートフォリオの充実による収益基盤のさらなる安定化を図る考えです。
その中核となるのが、アグリ事業の育成です。近年、就農者の減少が顕著である一方、若年層の就農者数が増加傾向にあります。さらにこの流れを定着させるため、農業における生産性を向上させ、儲かる農業へと変えていく必要があります。そこで開発したのが、当社独自の農業用ハウスです。仮設資材の製造で培ったものづくりの技術を活用し、シンプルで取り扱いやすいパイプハウス、高機能を誇る鉄骨ハウスなどをラインアップしています。また、当社では、現場に即した農業用ハウスの開発・製造に向けて、自社にて農業に取り組んでいます。このほど、埼玉県羽生市で「羽生愛菜(はにゅうあいさい)プロジェクト」をスタートさせ、実証栽培を行っています。

G-Castle

実証栽培施設として、当社オリジナル製品の「G-CastleNeo48」を建設しました。同プロジェクトでは、IoTをこれまでお伝えした通り、基本戦略を着実に展開することで、攻めの経営を加速させる一方、事業の拡大におけるリスクを低減させる守りの経営も重要ととらえています。この点、ESG経営のさらなる推進を通じて、攻めと守りの両面から経営基盤の強化を図っています。
活用し、キュウリの収量を上げるための栽培方法や、良質なイチゴ・ミニトマトを育てるための栽培システムの実証実験に取り組んでいます。また、ハウス内の温度や湿度などのセンサリングを行い、得られたデータを蓄積するとともに見える化を図ります。データを活用した各種設備の制御を行うことで、長年の経験に頼らなくても営農が可能で、かつ生産性の高い農業を後押しします。なお、基本戦略の四つ目である「海外事業基盤の再整備」については、東南アジアの市場をターゲットに、インフラ整備の大規模プロジェクトに事業機会を見出し、資材の供給を進めていきたいと考えています。特に注力している市場がフィリピンです。足もとではコロナ禍に直面し、動きが止まっているものの、今後大型プロジェクトが目白押しであり、大きなビジネスチャンスが控えています。当面、同国において従来型の資材をレンタル、もしくは販売するビジネスモデルで現地企業と連携しながら、市場への浸透を図っていきます。そして将来、フィリピンで培ったノウハウを水平展開し、インドネシアやインドなどにも市場を広げていく考えです。

ESG経営の諸課題に対処し、経営基盤をさらに強化

これまでお伝えした通り、基本戦略を着実に展開することで、攻めの経営を加速させる一方、事業の拡大におけるリスクを低減させる守りの経営も重要ととらえています。この点、ESG経営のさらなる推進を通じて、攻めと守りの両面から経営基盤の強化を図っています。まず環境面については、当社が目指すストック型ビジネスモデルは、そのまま環境負荷の低減にもつながるものです。現在、日本全国にある足場の数量は約1億平方メートルに達している一方で、稼働率は約6割といわれています。つまり4割は稼働せずに余剰材として眠っているのです。この点、次世代足場「Iqシステム」への転換が進み、稼働率が向上することで、資材スペースの削減、余剰材の移動の抑制につながり、使用するエネルギー量も自ずと削減していきます。
また、当社では、環境負荷の低減に貢献する太陽光発電事業を展開しています。中でも、駐車場の屋根の上に太陽光発電施設を載せるソーラーカーポート事業は、現在ゴルフ場向けなどで普及を進めています。将来、電気自動車が普及した際、このソーラーカーポートに蓄電機能を持たせることで、家庭用の駐車場だけでなく有料駐車場などからの需要も増えるものと予測しています。

タカミヤには海外を含め、多種多様な人材が存在しています。

2021年9月
代表取締役会長 兼 社長

髙宮 一雅

統合報告書2021 (PDF:7.7MB)

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