サステナビリティ

Sustainability

社会を取り巻く課題は多様化し、その影響は拡大し続けています。
企業は、これらの課題に事業や自社の強みを通じて対応し、社会に価値を提供することで、持続的な社会に貢献し、自らも成長することが求められています。
タカミヤはESGの取り組みが重視される以前から、「安全」「環境」「施工性」をテーマに事業を展開してきました。
継続可能な社会の実現のために事業活動を通じて貢献するとともに、社内においても多様な人材が働きやすい環境を整備しています。
その根底には、社是である「愛」があります。

社是「愛」について

「己を愛する」「人を愛する」「会社を愛する」ことで生まれる意欲や思いやりが成長の原動力

私たちが暮らすこの世界は、各国の経済が複雑にからみ合い、無数の企業が営む活動によって常に動いています。そして個々の企業は、そこに属する人々の弛まぬ努力によって成り立っています。では人は何によって動かされるものでしょうか。自身の意欲。家族への思いやり。そこが原点ではないでしょうか。私たちはそれを、企業成長の原動力にしたいと考えました。理念は「愛」です。

価値創造プロセス

タカミヤは、時代の変化を常に先読みしながら、未来志向で事業ポートフォリオや仕組みを変革し、新たなビジネスモデルを生み出してきました。これからもこのプロセスを繰り返し、社会課題を解決する商品やサービスを提供することで、持続的な企業価値向上を目指していきます。

マテリアリティ(重要課題)

当社は、中長期の経営戦略に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクと機会に加え、ステークホルダーにとって重要であると同時に、当社の経営、事業活動への影響度が大きい課題として、2023年に8つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。今後の事業活動を通じて社会課題の解決やステークホルダーの期待にお応えし、企業の持続的な価値向上につなげていくために、長期的な取り組みを進めて参ります。

特定プロセス

STEP1 社会課題項目の抽出

マテリアリティを特定するにあたって、検討すべき社会課題の抽出を行いました。MSCI、SASB、GRI、SDGs等のサステナビリティ分野の国際的なガイドラインとベンチマーク企業の開示内容を参考にし、その上で当社の事業活動との関連性、社会や建設業界が抱える課題等を基に社会課題を抽出しました。抽出した社会課題については、事業及び社会への影響度・重要度で評価し、評価が高く、今後取り組むべき課題候補項目をマテリアリティ案としてリスト化しました。

STEP2 役員を始めステークホルダーによる重要度評価アンケート

STEP1でリスト化したマテリアリティ案を基に、当社の役員および当社と関連性が高いステークホルダーに各課題候補項目への期待や影響度についてアンケ―ト形式でヒアリング調査を実施しました。ステークホルダーには従業員や顧客、機関投資家や行政にヒアリングを実施し、当社との関係や社会への影響の視点で、それぞれの課題について、当社がどの程度優先的に取り組む必要があるかを理由と共に回答していただきました。

STEP3 ヒアリング結果を基に重点課題候補の作成

STEP2でのヒアリング結果を基に、各課題項目を「自社における重要度」と「ステークホルダーにおける重要度」の2軸で評価し、それぞれの重要性を統合し、全体の重要性を評価した上でマテリアリティの最終案・マテリアリティマップを作成しました。

STEP4 最終化し取締役会での承認

STEP3で作成したマテリアリティの最終案を、経営会議および取締役会で、特定の目的およびプロセスと共に報告し、決議を経て、当社のマテリアリティとして正式に決定しました。今後は業界動向の変化や新たなESG課題を勘案し、定期的にマテリアリティの見直しを行います。

持続的に成長するための8つのマテリアリティ

環境に配慮したオペレーション

持続可能な社会の実現、持続的な企業成長のためには、環境負荷を配慮したビジネスを推進する必要があります。企業活動を通して環境負荷・環境リスクを低減し、社会の持続可能な発展に貢献するためです。

循環型社会の実現に資する製品・サービスの創出・浸透

持続可能な社会の実現のためには、限られた資源を有効活用する必要があるためです。建設業界では人手不足や社会インフラの老朽化などの課題があります。これらの課題を解決する製品やサービスを展開し、循環型社会の実現を目指します。

責任ある調達と人権の尊重

環境に配慮した原材料を採用し、それらの生産工程における労働者の権利を保護するためです。適切な材料、工程、環境で製造された製品の信頼性は高く、これらの製品が普及することで、持続可能で公正な社会の実現を目指します。

企業の持続的成長を支える多様な人材の強化

持続的な企業成長には多様な人材、能力が必要なためです。社是である「愛」のもと「人材が企業力の本質である」という人本主義を経営哲学として掲げており、多様性を尊重し、強化、育成を行います。

心身共に健やかに保てる魅力的な労働環境の構築

就労環境や作業環境を整備することで、労働者のモチベーション、幸福度を高め、生産性を向上させるためです。当社従業員だけではなく、工事現場作業者の安全性を高めるために足場安全講習なども実施しています。

製品の持続的な安全性と品質

当社の製品は工事現場で採用されているため、製品の安全性は作業員の安全に直結します。また作業員の労働災害などを未然に防ぎ、安心して製品を利用していただくために、製品の安全性を向上させる必要があるためです。

コーポレートガバナンスの高度化

中長期的に企業価値を向上させていくためにはステークホルダーの支援が必要不可欠です。支援していただくためにも企業経営の透明性の確保、ステークホルダーの権利の尊重し、組織での不正や不祥事を防ぎ、企業経営において公正な判断・運営がなされるように徹底しなければならないためです。

情報セキュリティとプライバシー管理

当社は顧客や各工事現場のデータを大量に保有しており、今後は更なるデジタルツールの活用、DXの推進を行うため、大量のデータを管理します。安心して当社のサービスを利用していただくためにも、情報セキュリティとプライバシー管理は重要です。

外部環境とリスク・機会

要因 リスクと機会 理由 長期的な対応と今年の取り組み
経済環境の変動 国内景気動向 リスク 機会
民間企業の設備投資の動向
  • 景気動向に民間設備投資が影響される
  • 景気が悪化するタイミングでは、政府投資が増加する傾向にあるため、公共インフラ建設工事のほか、幅広い工事に利用できる汎用性の高い機材および技術の保有
リスク 機会
国内建設投資額の増減
  • 主力事業が建設工事用の仮設機材関連事業であるため、建設投資額に影響を受ける
  • 汎用性が高い仮設機材の充実、供給体制の整備
  • 仮設機材関連事業以外での事業育成
  • 国内建設需要に直接影響を受けない海外(ASEAN)への進出
為替相場の変動 リスク
急激な円安進行
  • エネルギーや原材料価格が高騰し、製造・運搬コストが増加する
  • 原材料価格の高騰にあわせて販売価格への転嫁を適宜実施
社会環境の変動 新築から維持修繕への移行 リスク
交通インフラ新築需要の減少
  • インフラの新築需要は縮小傾向、高速道路や鉄道における橋梁建設向けの大型支保工材の余剰が発生する
  • インフラ建設需要が見込めるASEAN諸国への売却
機会
インフラ維持修繕需要の増加
  • 日本国内の交通インフラが建設後50年以上経過し、維持修繕需要が増加傾向にある
  • レンタル先の現場の工期が長期化するため、現場単位の採算が良くなる
  • インフラ維持修繕工事に必要な仮設機材の充実、汎用性の高い機材への更新
建設現場における生産性向上 機会
次世代足場の普及加速
  • 腰をかがめず、楽に安全に作業できる次世代足場「Iqシステム」の需要が増加する
  • 資材置き場の省スペース化だけではなく、運搬効率や足場施工の作業負担を軽減することができるため軽量化需要も増加する
  • 保有するすべての単管を高張力鋼管に入れ替え軽量化
  • 優れた作業性と安全性を生み出す次世代足場「Iqシステム」への入れ替えを完了
  • 鉄からアルミへの素材変更などによる軽量化
  • 「lqシステム」の生産能力向上
リスク
保有仮設機材の陳腐化
  • 革新的な工法の開発によって作業用足場など仮設機材が不要となる
  • 仮設分野以外での事業育成(アグリ事業など)
  • ハードに依存しないビジネスモデルへの移行(プラットフォームビジネス)
DX リスク
IT人材不足によるDX推進の遅れ
  • IT人材の確保ができずDX関連サービスの提供が遅れ、シェアを奪われる可能性がある
  • IT系人材の採用と従業員への教育を推進
  • 工場で使用する帳票類の電子化、書類の電子保管
  • 従業員向けにDXの取り組みに対するインセンティブの採用
機会
新たな需要が生まれる
  • 標準的な取引手法がインターネット経由となり、対応によって新規顧客、顧客との取引額が増加する可能性がある
  • 建設DXで必須とされているBIM/CIMへの対応をグループ内で推進しており、需要拡大により受注機会が増加
  • WEBオーダーシステム「OPERA」を導入し、受注チャネルの多様化・機会が増加
農業従事者の多様化 機会
企業の農業への新規参入が増加
  • 高い収量が見込める施設の需要がある
  • 新規就農が多いため、自動制御、栽培ノウハウが必要とされる
  • 生産性を高める設備・機器の需要が増加、作付面積当たりの収量の増加が求められる
  • 金属加工技術、足場用鋼管等を用いた農業用パイプハウス、農業用品の開発
  • 高機能ハウス「G-Castle ProⅠ・Neo48」のリリース
  • 自社製品を利用した実証栽培を実施し、ノウハウ・各種データを収集活用
気候変動への取組み リスク
原材料・運搬・燃料費の高騰
  • 化石燃料の価格の高騰等によって、原材料費や運搬コストが高騰する可能性がある
  • 足場のシステム化によって、部材をコンパクトかつ軽量化することで、必要な資材の運搬台数や往復回数を抑制
  • 郊外型の機材センターを都市部に開設・移転
機会
プラントの新設・更新需要
  • 化石燃料の使用抑制や効率化、水素や電気など代替エネルギーの利用増加による設備の更新や新設などの建設需要が増加する
  • ソーラーカーポート「POGERO(ポゲロ)」の開発・販売
  • 電力プラント新設保守に関する工事への足場供給拠点の整備
自然災害の発生 リスク
事業経済活動の停滞
  • 地震や台風等の自然災害およびウイルス等の感染症の流行により、操業停止をせざるを得ないような事態が発生する
  • 全国29ヵ所に機材供給拠点を配置し、リスクを分散
  • 国内2ヵ所と海外2ヵ所の計4ヵ所に生産拠点を分散
  • リモートワークの推進
機会
災害復旧・復興への対応
  • 自然災害による交通インフラ等の損壊を早急に回復させるため、建設工事に必要な仮設機材の需要が増加する
  • 全国に機材供給拠点を配置し、復旧・復興工事に必要な仮設機材の供給体制を整備
国内人口動向 リスク
人材・人材力の不足
  • 少子化社会が進み、新規採用等が困難となる
  • 施工管理など資格や技能を有した人材確保が困難となる
  • 各種福利厚生制度の拡充、働き方改革など就労条件や環境の整備
  • 各種研修制度による人材育成
法令・制度等の変更 労働安全衛生規則の改訂 機会
新製品&既存製品の需要拡大
  • 建設工事現場での作業者の安全を確保するための法令やガイドラインの改訂は新たな製品需要を生み出す
  • 建設業の週休二日制導入の推進、時間外労働の上限規制
  • 優れた安全性と施工性を具備した製品の開発、製造、拡販を推進
  • 製品の軽量化、アルミ素材を使用した製品の開発

ESGへの取り組み