コラム

「杭径が想定より太くなった」その理由は?

作成者: 設計|Aug 7, 2025, 12:00:00 AM

杭基礎の設計で、「実施設計に入った途端に杭断面や基礎梁が大きくなった」「現場で納まりが悪く、施工に手間がかかった」といった声を耳にすることは少なくありません。

実際に設計の際に基本設計からお手伝いをさせていただいていると、実施設計になった途端に条件が厳しくなったケースがいくつもありました。
こうした想定外は、実は“設計段階の「フェーズ間ギャップ」”が原因であることがほとんどです。
本記事では、「基本設計」と「実施設計」の違いに着目し、その構造的なズレを解消するための有効な解決策──キャプリングパイル工法/キャプテンパイル工法(以下CP工法/CTP工法)についてご紹介します。

目次
  1. 実施設計で明らかになる3つの課題
  2. CP/CTP工法だからできたこと
  3. 設計と施工の“しんどさ”を減らす、新しい杭基礎の選択肢

実施設計で明らかになる3つの課題

杭基礎設計には、大きく分けて「基本設計」と「実施設計」の2つのステージがあります。
この2段階の設計で食い違いが生じると、杭径の過剰設計や基礎梁の肥大化、施工トラブルにつながる恐れがあります。

なかでも以下の3点は、杭基礎における見落とされがちな落とし穴です。

課題①:杭断面の増加

地盤条件の変化や荷重条件の再設定により、当初想定よりも杭の断面が大きくなり、杭材のスペックアップが必要になるケースがあります。その結果、コスト増加や設計見直しが発生します。

課題②:基礎梁断面の増加

杭径の増加や杭配置の変化により、梁断面が当初想定よりも大きくなるケースが見られます。これにより、梁鉄筋量や型枠・掘削量が増加し、施工性やコストにも直接影響を及ぼします。

課題③:杭頭接合部の納まりの悪化

主筋本数や杭頭補強筋が増えたり、鉄筋の配置が密になることで、杭頭部の納まりが複雑化。配筋干渉が発生しやすく、急な変更や現場対応が求められることもあります。

CP/CTP工法だからできたこと

先程挙げた3つの課題に対して、CP工法/CTP工法は解決に繋がる提案が出来ます。

解決①:杭断面の増加を抑える

地震時などに杭頭へ作用する曲げモーメントを低減が可能です。その結果、杭に求められる断面性能が過剰にならず、従来の固定工法よりも杭材のスペックダウンにつながり、コスト削減が実現できます。

解決②:基礎梁断面の過剰設計を防ぐ

両工法ともに、杭から基礎梁に伝わるモーメントを緩和するため、以下のような効果があります。
・基礎梁断面の縮小や基礎梁鉄筋本数の減少によるコスト削減
・構造性能を担保しつつ、梁のスリム化と工期短縮を同時に実現可能

解決③:杭頭接合部の納まりと施工性を改善

この工法を使用することで杭頭補強筋を無くすことができます。さらに曲げモーメントを低減できるため、主筋本数も削減できます。これにより配筋干渉リスクを大幅に低減することができ、杭頭納まりがシンプルになります。

設計と施工の“しんどさ”を減らす、新しい杭基礎の選択肢

杭基礎における「基本設計」と「実施設計」には構造条件や精度の違いがあり、そのギャップが杭径の過剰設計や基礎梁の肥大化、納まりの悪化を引き起こす要因となります。これにより、コスト増や施工の難易度上昇が発生するケースも少なくありません。
こうした課題に対し、CP/CTP工法はモーメントを低減し、設計の過剰化を抑制。
納まりもシンプルになることで、構造設計と現場施工の“しんどさ”を軽減します。

設計の現場では、基本設計・実施設計を問わず、条件の変更や再検討が避けられない場面も少なくありません。
その中で、膨らんでしまった杭径や基礎梁に対し、CP/CTP工法は設計の柔軟性を広げる有効な選択肢になることもございます。
もし現場でのお困りごとやご相談があれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。